1 ネズミの正体
息子は、ある日突然、川の中から宝石みたいな石でも見つけた時かのような、澄んだ瞳を僕に向けて、軽快に「ねぇねぇ」と主張してきました。
まーたテレビ見たい、とかゲームしたい、とか言い出すんやろな・・・いや待てよ、今は11時・・・お昼前で少しお腹が減ったーアメ食べたい~かもしれない、とか考えても意味ないよね、うん。そんな、超無駄な推測をしていたところ、
息子
「ねぇねぇ、●●(ブラックマウス)って、中身、
人でしょ?」
僕
「・・・え?」
・・・早くね?っていうか、サンタより早いもんなのね?そうなのね、
そしてこれって本当のこと言った方がいいのかな、どうなの?いやいや流石に早いか?
なにこの難問、無理無理こんなん秒で答えでるもんじゃねええええ!
そ、そうだ!ま、まずは相手の腹を探ろう、そうしよう!
僕
「いやー、、、人じゃないよ?」
息子
「人だよ、だって手とか、足とか、人と同じだったもん」
僕
「えー、、、そうかなー、、、人だったらどうなのー?(汗)」
息子
「嬉しいな、自分の考えが合ってるってことだから」
・・・お前は本当に5歳か?
ダメだ、まだ崩せない、むしろ否定し辛い流れだ!
マズイマズイマズイ。とりあえずもうちょっと探る、そう、期を待つんだ。
相手は5歳だ、落ち着け、必ずどこかでボロがでる!
ここが大人の器の見せ所ってもんよ、大人をナメるんじゃねぇぞっ・・・!
俺
「あー、、、でも人じゃなかったら?」
息子
「え?違わないよ、人だよ」
な、何その自信は!なんで確信してるの!
なんかこれはもう無理なやつなんじゃないか?
これ以上はなんか格好つかなくなっていくやつじゃないか?
小賢しいことをしているとバレバレになっていくパターンのやつじゃないか?
・・・ここで引いておくべきか・・・
ほら、将棋とかでも、もう負けるってわかったら最後までやんないもんね。
潔く「参りました」とか、「ありません」とか格好良く終わるもんね。
てか何この敗北感。
やるな息子よ・・・パパはまるでコナン君を相手にしているような気分だよ!
認めよう、今この瞬間、父越えを・・・
俺
「・・・そ、そう・・・」
息子
「あ!でも宇宙人だったら面白いね、えへへ〜」
よかった、5歳だった。